電子辞書と紙の辞書、それぞれのメリットを考える

辞書もすっかりデジタルが一般的になったが、自分は紙の手触りもやはり捨てがたいので、部屋には国語辞典・漢字辞典・類語辞典などの分厚い辞書がいまだに本棚に並んでいる。これはひとつの趣味趣向ではあるのだが、それと同時に電子と紙の辞書を使い分けるなかで実感するそれぞれのメリット・デメリットもあったりする。なにかと紙媒体が不遇な時代なので、この記事では双方を比較するなかでその魅力を見出していきたい。

電子辞書のメリット

コンパクトかつ多機能

まず電子辞書の最大の魅力と言えばコンパクトなことに尽きる。ぎりぎり平成生まれの自分でも小学生のときにべらぼうに重たい国語辞典をランドセルに入れて登校した記憶がある。それだけに初めて電子辞書を購入したときの感動は計り知れないものがあった。技術の進歩の偉大さが身に染みた。

またひとつの中に国語・漢字・英語と複数の辞書が収録されているのも非常に大きなメリットと言えるだろう。高級な電子辞書などにはことわざ辞典や百科事典などが収録されていることもあり、持っている子が羨ましかった記憶がある。ちなみに自分の辞書は安物だったので最低限の辞書しか入っていなかった。それでも普通に使う分にはまったく困らなかったが。

検索が楽

紙の辞書も慣れれば目的の項目に素早く到達できるが、それでも電子辞書ほど早くはないだろう。全文字を入力しなくても候補を絞り込んで表示してくれるし、また複数の辞書を並行して検索もしてくれる。

個人的に非常に重宝しているのが手書き入力による検索である。画像は「大辞林」というスマホアプリだが、手で書いた文字によって検索できるので読めない漢字に出会ったときに大活躍してくれる。いままでは読めない漢字は画数や部首によって調べるしか無かったわけだが、手書き入力の存在によってその手間が不要になったのは嬉しい。この機能はアプリだけというわけではなく、最新の電子辞書ならほとんど備わっているようだ。

書いた文字と似た候補をピックアップして表示してくれる。

また最近の電子辞書は音声を活用できるのもメリットと言える。音声入力による検索はもちろん、発音やイントネーションなどを聞いて確認することもできる。五感をフルに使って学べるのは電子辞書の大きな魅力だろう。

紙の辞書のメリット

ここまで電子辞書が便利だと紙の辞書の出番など無いように見えるが、そんなことはないと思いたい。紙の辞書のメリットも考えていきたい。

一度に得られる情報が多い

これはたびたび言われることだが、紙の辞書は項目が隣接して表記されているため、調べる過程で自ずと複数の情報を得ることになりやすい。これは電子辞書と比較してデメリットである「検索の非効率さ」が、そのままメリットにもなっているとも言える。

個人的経験でも紙の辞書を使っていると、目的の項目以外のところに目が行ってしまい夢中になることが多々ある。見たことない単語や反義語・類義語・関連語などが載っていて意外と面白いのである。単に目的の語を調べるだけではなく、語彙や知識を増やしたいと思う人にはおすすめだ。

書き込みができる

これは好みが別れそうだが、直接書き込みができるのは紙媒体の強みと言えるだろう。自分が中古で買った辞書にもところどころにマーカーが引いてあったりするので、意外とそういった使い方をする人は多いようだ。線を引くなり余白にメモするなりすることで、記憶により定着させることを期待できる。

マニアックな辞書は紙にしかない

これは逆に言えば「独自性が強いものは電子辞書に収録されない」ということだ。例えば自分が所有している「ベネッセ全訳古語辞典」はイラストや図が豊富で、合間に古語学習に役立つコラムなども書いてある楽しい辞書なのだが、ビジュアル面が際立つからか収録されている電子辞書は見つからなかった(アプリ版はある)。

また「全訳漢辞海」は漢字の平仄や唐代での読み方が書いてあるので、より専門的に漢文をに学ぶ際には非常に優良な辞書なのだが、こちらも収録されている漢字辞書はなかった。

一般的に電子辞書に収録されるのは無難かつシンプルなものが多いようで、専門的かつ独自性の強い辞書は選ばれないことが多い。ただ実際にその分野を掘り下げて学ぶ際にはこういった辞書に頼る必要性も生じるだろうから、その点では紙の辞書の存在は大きなメリットとなるだろう。

どちらを使うべきなのか

ここまで双方の特徴的なメリットを自分なりに考えてきたわけだが、こうして見るとやはり状況によって使い分けることがベストなのかなと感じる。例えば受験や試験の勉強のように一定期間で結果を出さないといけない場合、効率が追求されている電子辞書が向いていると言えるだろう。外出先で勉強する機会も多いだろうから、そういったときにコンパクトさは大きな魅力となる。

逆に知識や教養を蓄えるという目的なら紙の辞書のほうが勝っているように思う。寄り道的にさまざまな項目に目を通すことになるのは広い知識を得ることに繋がるだろう。また専門的な勉強をする際には適したものが電子辞書に収録されていないこともあるので、結果的に紙の辞書に頼らざるを得なくなるかもしれない。

紙の辞書の未来

こうして見ると紙の辞書にも立派なメリットがあったわけだが、それでも状況が厳しいことには変わりないと個人的には思う。今後も電子辞書は進化を続けるだろうし、その途上で紙の辞書の持つメリットを搭載していくことは十分に考えられる。しかし紙にはそのような進化の余地はまず無い。いつしか電子辞書しか存在しなくなるということも冗談抜きでありえるように思う。冒頭でも言ったように自分は紙の辞書が好きなので、そういった未来が想像できてしまうのは少しだけ寂しいような気もする。


SNSでもご購読できます。