3月12日土曜日、新宿は紀伊国屋サザンシアターにて開催された、朗読劇『それから』におじゃましてきました。
こちらの朗読劇は「声の優れた俳優によるドラマリーディングシリーズ」と銘打ってあるように、出演陣が非常に豪華。アニメや吹き替え、さらには演劇などで広く活躍している声優さん達による贅沢な朗読劇となっています。
おそらくは人生で初めて朗読劇に触れたのですが、最高の夜でした。
夏目漱石 × 朗読劇
『それから』は夏目漱石による小説でございます。どういう話か気になる人は、各自勝手に調べてください。
約100年前に発表された名作文学を一流声優さんが朗読してくれるという、聞くだけでワクワクが止まらなくなるようなイベント。自分は出演する声優さんが好きな方ばかりだったので、なんとか滑り込みでチケットを入手することができました。(しかも運良く前から2列目というベストプレース)
夏目漱石は敬愛する作家ではあるものの、恥ずかしながら『それから』は未だに読んだことのない作品。公演一週間前からせっせと読み進め、なんとか3日前には読破することができました。
「やっぱり漱石は凄え」
読み終わって最初にそう思った。言葉がいちいち綺麗すぎる。比喩表現も的確だし、真に迫るストーリーにゾクッとさせられる。この人の作品が時代を越えて愛されている理由を改めて納得させられました。
この名作を朗読劇ではどのように表現するのだろうか。声優さん達はどのような演技をしてくれるのだろうか。ワクワクドキドキしながら、当日を迎えました。
観終わった後の、圧倒的な感謝と感動
公演は紀伊国屋新宿南店7Fにある「紀伊国屋サザンシアター」にて開催されました。最初に間違って本店の方へ行ってしまった馬鹿野郎は私です。
朗読劇『それから』は日程によって出演陣が入れ替わります。自分が参加した夜の部は梶裕貴さん、竹達彩奈さん、佐藤せつじさん、阿澄佳奈さんの4名でした。日頃アニメで聞いている声優さんの演技を目の前で見れるというのは、自分にとって凄く不思議な体験。
会場に着いてまず思ったのは、年齢層のバラバラさ。若い女性が目につくかと思えば、年配の夫婦もいたり。声優さんを入り口にして来た人もいれば、夏目漱石を入り口にして来た人もいる。そういった印象でした。あの老若男女入り乱れる雰囲気は落ち着きますね。
さて肝心の朗読劇の内容ですが、有り体な言い方ですが本当に感動した。終わったあとの余韻が非常に心地よく、また終わってしまったことが本当に寂しく、しばらく座席から立つことができず放心状態。
圧巻はやはり声優さんの演技力。人間は声だけであれだけの表現ができるのかと驚くばかりでした。知っている作品のはずなのに、声優さんの声を通して聞くと全く別の作品のように思えてくるんですよ。モノクロの世界に色がつけられていくような、鮮やかな感覚。
舞台にいる誰しもが声の使い分け、感情の込め方、場面による抑揚の付け方の洗練さが尋常じゃない。素人が偉そうなことを言ってますが。
特に平岡役の佐藤せつじさんの演技は、こちらがビビってしまうほどの大迫力でした。声を荒げる場面が多い役どころなのですが、目の前見ていると恐怖を感じるほどの真に迫る演技でした。「憑依する」というのはああいうことなのかと思わせるほど、僕にとっては平岡そのものでした。
音響や照明による演出もまた非常に素晴らしかった。そのシーンによって必要な音や色調を完璧に表現しているので、情景がリアルに飛び込んできました。またそれによって声優さんの朗読がより魅力的になっていたように思います。
尊敬する職業のひとつが声優の自分にとって、その道の一流の人達の演技を生で見れたことは非常に感慨深いものがありました。直に見る声優さんの真剣な表情は本当に格好良かった。尊敬する声優さんが会場の観客たちのために全力を出して演技をしてくれている。そのことに感謝と感動が止まりませんでした。終わった後は少し泣きそうになりましたね。
文学をより魅力的にしてくれる朗読劇
朗読劇は、文学に新たな魅力を付け加えてくれる非常に素晴らしいもの、というのが今回の感想です。自分にとって読書は「本」と「自分」という間だけで完結するのが当たり前でした。朗読劇を観に行ったことで、そこに声優さんや音響、照明演出が加わり、また違った角度から作品を見る機会を与えてくれます。今回の朗読劇によって、『それから』は単なる名作から、自分にとって一生忘れることのない特別な作品になったと感じます。
いやー本当に素晴らしかった。あらためて声優という職業の偉大さ、夏目漱石の作品の普遍的な価値を認識することができました。構成・演出を担当した深作健太さん、声優陣、関わっていた全ての方々に感謝です。
初めての朗読劇でしたが、期待以上すぎる感動体験となりました。この「声の優れた俳優によるドラマリーディングシリーズ 」は今後も続くようなので、第二弾の公演も絶対足を運ぼうと思います。
また素敵な役者や演出家さんと出会えた。いつからか、人前で演じることが苦手になっていたけど、またライトを浴びることですこしまた感覚を思い出せた。全く宣伝もしなかったのに、仲間やファンが来てくれた。また明日からも頑張れるエネルギーになりました。本当にありがとうございました!
— 佐藤せつじ (@setsujisato) 2016年3月12日
本日、私は千秋楽でございました!
キャストが変わると会話も変わる面白さを感じながら楽しんでステージに立たせていただきました!
三千代の生きてる時間を共に感じられて嬉しかったです。
応援してくださって本当にありがとうございました! pic.twitter.com/AXc6KOCLga— 竹達 彩奈 (@Ayana_take) 2016年3月12日
【梶】朗読舞台「それから」に代助役として出演させていただき、無事千秋楽を迎えることが出来ました!演出の深作さんをはじめとするスタッフの皆さん、キャストの皆さん、ご来場くださった皆様、本当にありがとうございました!最高の座組でした! pic.twitter.com/KT2ivnuGNs
— 梶裕貴@staff (@KAJI_staff) 2016年3月13日
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