情報が多いから無駄も多くなる。『仮説思考』で結論から考える方法

技術が進歩して情報に触れる機会が多くなればなるほど、この「仮説思考」は大切になります。「まず仮設ありき」で物事を考える癖をつければ、僕たちは情報の波に飲まれることなく、常に迅速かつ正確な問題解決をすることができるからです。

そういうわけで以前からその必要性を感じていた「仮説思考」の本を読んでみました。

仮説思考は「自分で考える力が弱い」と感じている人に適する思考方法ですし、また同時に良い思考トレーニングでもあります。「考える」ということに対して悩みを感じている人に推奨できます。

仮説思考とはなんなのか?

なんとなくわかるとは思いますが、一応定義づけておきます。「仮説思考」が何かというと、冒頭でも少し触れたように「まず仮説ありき」で物事を考えて、実行に移すプロセスを言います。

仮説思考とは情報が少ない段階から、常に問題の全体像や結論を考える思考スタイル、あるいは習慣ともいうべきものである。

例えば仕事などで問題が起こった場合、ほとんどの人は考えられる原因すべてを徹底的に調査することから始めるのではないでしょうか。本書ではこのような方法を「まず情報を網羅する」ということから「網羅思考」と呼んでいます。

しかし仮説思考の場合は少し違います。問題に対してまず「これが原因で、解決方法はこれではないだろうか」という仮説を作り、それをもとに情報収集をしていきます。つまりはまず結論を考えて、それが正しいかどうかを確かめていくという方法なのです。

流れは違うものの、どちらも「問題解決」という部分では到達点は同じですし、それに網羅思考の方が間違いも少なく、より確実な方法に思うかもしれません。

しかし僕は仮説思考で考えていくほうが圧倒的に優れていると思っています。その理由は次から話していきます。

仮説思考の大きなメリット

では仮説思考のなにが優れているのでしょうか。その最大の理由として、結論に至るまでの時間が圧倒的に短いことがあります。

網羅思考の場合、その前提となっているのは情報を集めまくることです。問題を見極めるために情報を集め、浮かび上がった問題を解決するためにまた情報を集め……ということを繰り返します。つまりは非常に時間のかかる作業になってしまうわけです。

仮説思考の場合は問題に直面した時に、いきなり情報を収集するということはしません。まず考えるのは仮説です。「問題はコレで、解決するにはアレをすればいいんじゃないか」と当たりをつけることから始めるのです。

仮説思考の大きなメリットは、情報収集はその仮説を裏付ける部分だけ行えば済むという点です。網羅思考の場合は大量の情報が必要になりますが、それが仮説思考の場合は必要最小限に収まります。

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もちろんあくまでも「仮説」なので、時にはそれが間違っている可能性もあるでしょう。ただその時はすぐに次の仮説を立て、またそれと関連する情報のみを集めていけばいいわけです。つまりはあらゆる情報を集めていく網羅思考よりは、ほぼ確実に素早く問題解決に至ることができるのです。

仮説思考で最初から自分なりにある程度まで踏み込んだストーリーを組み立て、それが正しいかどうか調べ、間違いに気がついたらただちに軌道修正し、あらためて他のストーリーを考える。この方法が最も効率的だ。

仮説というと脆いもののように聞こえますが、実際には思考の軸になるようなものであり、より単純により深く物事を考える助けとなってくれます。

具体的には仮説を立てることで、やるべきことがクリアになり、論点を深く考えることができる。

仮説は決して「当てずっぽう」ではない

ただ仮説を元に行動を起こしていくことに、不安や恐怖を覚える人は多いと思います。仮説なので当然間違えることがあるとは先ほども言ったとおりですし、他人に仮説を唱えてみたら反発を喰らうなんてこともあるかもしれません。

「間違えた仮説を唱えてしまうぐらいなら、時間がかかっても情報を網羅してから行動したい」
このように考える人も多いかもしれませんね。

ただ勘違いしてはいけないのは、仮説は決して何の根拠の無いものではないということです。仮説とは言ってもそれが頭に浮かぶ段階で、現在の状況や過去の経験から妥当と思われるものを想定するからです。仮説を生み出せるという時点で、そこには必ず何かしらの根拠が存在しているわけです。

これまでの経験といま見聞きしていることが組み合わされて、答えが出てくるわけだ。単なる経験だけでもなければ、ただの思いつきでもない。その両方が組み合わさって答えが出てくるといえばよいかもしれない。もちろん全部が正解なわけではなく、間違うことも多い。そうした成功も失敗もすべて蓄積されることで、勘がさらによく働くようになるのである。これが仮説思考の積み重ねの成果だといえる。

また著者は、仮説思考に慣れないうちは「気持ち悪さ」が伴うと言います。

仮説思考は慣れないうちは気持ち悪さを伴うが、その気持ち悪さを乗り越えないと、いつまでも仮説思考が身につかないということである。

これは情報収集を完璧にしてから行動を行ってきた人間が、いきなり仮説を元に行動していくことから起こる心許なさや不安などをひっくるめて「気持ち悪さ」と表現しているのでしょう。

ただそれはある程度は仕方の無いものであり、慣れればそういったことはなくなるということですね。仮説思考を身につけるための第一は「まずやってみる」ということでしょう。

優れた仮説の条件は「掘り下げてあること」

仮説は特定の生み出し方などは無い、と本書には書かれている。多角的に物事を見たり、ゼロベースで考えたりということは書いてあるが、どれが正解というわけでもないのでしょう。

仮説の立て方は人それぞれで定石はない。仮説構築にはさまざまな方法がある。

ただどういった仮説が限りなく正解に近いかは触れられています。それは「原因」が掘り下げられている仮説です。

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例えば「なぜ自分はなぜモテないのか」という問題を考えるときに、原因として「顔が悪いから」という仮説を考えたとします。確かにそれは原因のひとつなのかもしれませんが、これでは掘り下げ方が甘いので優れた仮説とは言えません。なにより考えるほど自分が傷つくだけです。

例えばこれが「清潔感が足りないから顔も悪く見える。だからモテないのではないか」とか「肌が汚いからブサイクに見えるのではないか」などなど、少し踏み込んで更なる原因を追求できていると、次に取る行動もわかりやすく、仮説としては優れていると言えます。ちなみに上記はただの一例なので、あまり深く考えないでください。本書にはもっと良い例が書かれています。

こういう仮説がよい仮説だ。「なぜ、そうなのか」というところまで、もう一段掘り下げて考えてみなくてはならない。

優れた仮説を作ることができると問題の全体像がわかりやすくなり、スムーズに行動に移ることができます。

仮説思考は続けることで研ぎ澄まされていく

仮説思考を身につけるために最も重要なのが「経験」です。仮説思考を繰り返すことによって積み重ねられていった経験が瞬時に正しい仮説を作ることに繋がり、いつしか仮説は限りなく正解に近い考えとなっていきます。

なぜ問題の答えが直感的にわかるかといえば、それは仮説と検証の経験によるものだ。よい仮説は、経験に裏打ちされた直感から生まれる。仮説を立てるには経験を積むことが大切だ。少ない情報でよい仮説を立てられるようになるには、経験を重ねるしかない。どんどん仮説を立て、間違っていたら別の仮説を立てる。間違った仮説を立ててしまった場合には、次からは違う要素も加えて仮説を立てることを試みて、仮説を進化させていく。よければその仮説をさらに進化させる。これを繰り返しトレーニングすることだ。

仮説思考は情報にまみれている今の僕達にこそ必要な考えです。少し調べればあらゆる情報が手に入ることは素晴らしいことですが、それによって何かあればすぐに情報収集に逃げて「まず考えてみる」ということを放棄しています。しかもそのような「網羅思考」はかえって非効率な方法でもあるのです。

漠然と考えていた「まず仮説ありき」という考え方を具現化してくれる良書でした。今後はわからないことがあった時、いきなりググるのではなく、まず仮説を作るということを習慣づけていこうと思います。

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