難しい本の読み方・読むためのコツをまとめてみる

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本を読んでいてやっかいなのが、難解な本の存在です。自分もよく苦しめられています。特に歴史に名を残すような古典作品ほど内容も比例して高度なことが多く、太刀打ちできないまま気がつけば本棚の肥やしになることも。しかし難しいということは、逆に考えれば自分にとって未知の情報が溢れていると考えることもできます。難解という理由で敬遠するのは非常にもったいないです。

自分が様々な本を読んでいて思うのは、難しい本には難しい本専用の読み方があるということです。ビジネス書にはビジネス書の、哲学書には哲学書の読み方が存在します。本というのはその種類や中身によって、読み方を分けていくことが大切です。

この記事では、今まで自分が難しい本と格闘する中で効果のあった方法をまとめてあります。読書術の本を参考にしたものもあれば、自分で考えた方法もあったりと様々です。よろしければ参考にしてください。

※ここで言う「難しい本」というのは、内容の深さも併せ持っている本――歴史に名を残す哲学書や思想書、学術書など――を前提としています。中身はスカスカなのに難しい表現を多用しているだけの衒学的な本は想定していないことをご理解ください。

わからない箇所は、ひとまず飛ばす

まずわからない箇所があっても、そこで立ち往生せずに飛ばして読むことが大切です。「飛ばしたら全体の意味がわからなくなるんじゃないか」と不安に思うかもしれませんが、問題ありません。読書術の古典名著『本を読む本』 ※1 には、理解できない言葉や事象が登場した際は前後の文脈から意味を推定することが大切だと書かれています。パズルを組み立てていくと嵌めるピースの形が浮かび上がってくるように、まず前後の文脈もしくは段落を読み、そこで何を言わんとしているかを探るわけです。そしてとりあえず妥当そうな意味を当てはめて、先に読み進んでしまいます。

時には自分の推測した意味が誤りなこともあるかもしれません。しかしそれも問題ありません。仮に間違った意味に推測していたとしても、読み進めるうちにその矛盾に気づくことができます。これもパズルと同じです。完成に近づくにつれて、誤った位置に置いたピースは場所を変えざるを得なくなります。つまり意味を誤解していたとしても読者は結局それに気がつけるので、推測を修正することができます。結果オーライです。

この方法は一文ごとに丁寧に読むタイプの人はモヤモヤするかもしれませんが、そういった読み方ではいつまでも先に進むことができません。なによりストレスが溜まります。本には、最後まで読んで初めてその一文の意味が理解できる、というようなことも珍しくはありません。とりあえず先へ進んでしまうことが大事です。

注釈も最初は飛ばす

難解な本ほど注釈が多いものです。こちらも一読目では飛ばしてしまって構いません。

飛ばす理由のひとつとして、読むテンポが非常に悪くなることがあります。注解が書かれている箇所は、たいていは章もしくは本文の最後です。注釈のマークを見つけてはページをパラパラめくって注解を読み、そしてまた元のページに戻ってくるというのは非効率の極みです。まさにそんな感じで読んでいた時代が自分にもありましたが、ひたすらにストレスでした。

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また根本的な話として「注釈」とは言い換えれば「補足」なので、読まなくても本筋の理解に大きく影響しません。その本全体を読み通したあと、その本が気に入ったり、より深く理解したくなったり、といった場合に初めて注釈というものは読めばいいでしょう。注釈に気を取られるばかりに、肝心の本文の理解が雑になってしまっては元の子もないからです。

あらかじめ作品が生まれた背景を知っておく

例えばルソーの『人間不平等起源論』や『社会契約論』などは歴史に名を残す名著と言われていますが、同時に難解であることでも有名です。そういった本に何の事前準備も無しに立ち向かってしまうと、何を言おうとしているのか、そもそも何故この本がそこまで評価されているのか、ということが全く理解できずムカつくだけです。そういう場合には、その本を生み出した作者の生い立ち、その本が生まれた歴史的な背景、後世に与えた影響などを把握しておくと、かなり本に入り込みやすくなります。

そういった時にべらぼうに役に立つのが巻末の解説です。一般的に、難解な本は出版社側もそれを自覚しているので、丁寧に解説されていることがほとんどです。例えば岩波文庫の『社会契約論』は、訳者が4章にわたって歴史的な背景から作品の持つ意義までを解説してくれています。これを読んでみると、その当時の政治体は特定の支配者の存在が前提だったのに対し、ルソーの社会契約説はそれを全面的に退ける人民主権国家を想定していたことがわかります。今の感覚で言うと民主主義なんて当然ぐらいの感じだけれど、その時代では過激とも言える思想だった。とりあえずその辺りがわかっていると、『社会契約論』はかなり読みやすくなるわけです。

また少し邪道ですが、ネット上にある書評やWikipediaの記事を先に見てしまうのも手っ取り早くていいです。自分の力で読みたいと思う人もいるかもしれませんが、まずはその本に対する門戸を広げることが肝要です。

そういった解説や書評を読むのは、事前だけではなく事後にもおすすめできます。本を読み通した後に、自分の理解にズレがないか答え合わせ的に読んでみるわけです。ズレがなければ安心できますし、また自分と違う解釈に触れることによって新しい発見をすることもあります。使えるものはフル活用していきましょう。

難解な本は一読で理解できるものではない、と心得ておく

少し元も子もないことを言うようですが、深い内容を湛えた本というのは一回読むだけで理解できるものではありません。『読書と社会科学』 ※2 にも書いてあったように、古典――単に古いという意味ではなく、自分を変えるような力を持つ本――というのは何回読んでも再読の余地を残すものです。以前はチンプンカンプンだった箇所が次に本を開くときには嘘のように理解できるようになっていたり、また読み飽きたような箇所もあるときから別の色彩を持つように見えたりするというのが、今回この記事で想定している本です。

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難しさをはらんでいる本はそういった性質を持つことが多いので、最初の一回で全ての内容を理解しようというのは少し無理があります。それにそのように気張って読もうとすると、かえって読めない時に肩透かしを食らって惨めな気持ちにさせられてしまいます。あらかじめ「一回でわからなくても、また読めばいいや」ぐらいに気楽に読んだほうがスムーズに読めたりするものです。

あまり精神論は好きではありませんが、そういった心の準備をしておくことも時には必要ということです。

おわりに

僕が現状で思いつく方法をまとめてみました。もちろんこれ以外の方法もあるでしょうし、ここまでやらなくても余裕で読めてしまう人もいるかと思います。「こんなのもいいぞ」という方法があればパクるので教えて下さい。

難しい本(特に古典)はある程度読めるようになると、段々と他の本では満足できなくなってきます。それだけ読んだ後に感銘を受ける内容を持つ本が多いのです。そのように、難しさと深さを併せ持つ本の魅力に気づき、のめり込んでしまう人がこの記事によって増えたら幸いです。

脚注   [ + ]

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