怒りを抑える必要はない!怒るべき場面を判断し、正しく怒る方法

「怒る」ということをエネルギーの無駄と考えている人が大半ではないでしょうか。しかし実は怒りも使い方次第では、活動の大きな原動力となってくれるのです。

『怒らない』選択法、『怒る』技術」(苫米地英人著)という本では従来の「怒らないための方法論」のような本とは異なり、むしろ怒るべき時に正しく怒ることで物事を正しい方向へ導くことができると述べています。

「怒り」は抑えればいいというわけではない

僕たちの多くは「怒りは抑えることが美徳」と思い込んでいます。「怒ってばかりいては人間関係が上手くいかないし、周囲からの評判も悪くなる」というのが主な理由でしょう。しかしそのように考えてしまうのは、正しい怒り方を知らないからであり、だから「怒り」という感情をマイナスのものとしか考えられていないのです。

それに人間は基本的には感情を抑制できるようには作られていません。笑いたい時には笑いますし、感動したら涙を流す生き物です。怒りもそれらの感情と同じなのです。それなのに無理に怒りを抑えようとすると、できないことをしているわけなので、身体にはかなりのストレスがかかってしまいます。

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重要なのは怒るべき場面と、そうでない場面をしっかりと取捨選択することです。

これは怒る場面だ。だから、しっかり怒る。ここは我慢するべきだ。だから、しっかり我慢する。あるいは謝るといった、はっきりした意思を持って行動することがなにより重要なのです。それさえできれば、私たちがストレスを溜める場面というのは激減します。

それでは、怒る場面と怒らない場面というのはどのように区別すればいいのでしょうか。それが簡単にわかる基準が本書では紹介されています。

「怒るべき場面」を判断する基準とは?

怒るべきか否かを判断する上でのキーワードは「不利益」と「予想外」です。

それでは、怒る条件とはなにか? その一つ目は、「相手に過失があり、その過失によって自分に不利益が生じた時」です。 条件の二つ目は、「その過失が予想外だった時」です。

この条件はどちらか一方が当てはまれば怒っていいというものではありません。どちらも条件を満たした時に初めて「怒るべき場面が来た」と思うようにしてください。

具体例を出してみましょう。道を歩いていたら、少しガラの悪い男の集団が前から歩いてきます。狭い道なのに、彼らは周囲など気にもせず道いっぱいに広がって歩いているので、あなたは車道に回って彼らを避けざるを得なくなってしまいました。

この時に、あなたは怒りの感情を抱くべきでしょうか? この例での正解は、実は「怒る必要の無い場面」なのです。

先ほどの基準に照らしあわせて考えてみましょう。一つ目の「相手の過失で、自分が不利益を被る」という基準には、この例は当てはまりそうです。相手のチンピラ集団が道いっぱいに広がっているのは明らかに過失ですし、あなたが危険な車道に避けるはめになったのは不利益です。

しかし二つ目の「予想外」という基準から考えると、どうやらそうではありません。何故ならあなたは見た瞬間に彼らを「ガラの悪い集団」と認識できたはずだからです。社会的な常識の欠けている彼らが、人に迷惑をかけるということは十分に予想ができます。よって、二つ目の基準を満たさないこの例では、怒る必要は無いのです。

普通に考えると少しイラッとしてしまう場面かと思いがちですが、そもそも怒りという感情を生まれさせる必要も無いのです。通り過ぎた後に、「どうして注意できなかったんだろう」とクヨクヨと後悔する必要もありません。

こんな風にイライラする必要すらありません。

こんな風にイライラする必要すらありません。

「怒るべき場面」を判断する基準を設けることの素晴らしい効果は、怒りという感情を機械的にコントロールできるようになることです。

実は先ほどの例で出したエピソードは、僕が今日道を歩いている時に実際に体験した出来事です。その時は「なんで自分がこんな目にあわなければいけないんだ」とモヤモヤする気持ちもあったのですが、すぐにこの基準を思い出し「これは別に怒るべき場面ではないんだ」と理解できました。すると、不思議と気持ちがスッキリとしたのです。だってそもそも怒る必要がなかったわけですから。

もし日常で怒りを覚える場面があったら、この基準を思い出して怒るべき場面かを判断するようにしてみましょう。基準があるというだけで、自分の気持ちの整理は簡単にできることに気がつくはずです。

正しく怒る方法とは?

ここまでは怒るべき場面とそうでない場面を頭のなかで判断する方法について紹介してきました。ここからは、実際に怒るべき場面になった時に「どのように怒るのか」ということについて具体的に触れていきます。

僕たちが怒りに対してマイナスのイメージを抱いてしまうのは、ひとえにこの方法を知らないからです。学校や会社で怒るための技術など教わりません。だからこそ、正しい方法を修得することが他人と差をつけるために大切なのです。

冷静な思考と、丁寧な態度を維持すること

まずこれは最重要かつ大前提であることですが「絶対に冷静かつ丁寧な態度は崩さない」ということです。この時に効果的なのが「思考の言語化」であると本書には書かれています。

具体的に“思考の言語化”とはなにかというと、相手が汚い言葉、あるいは慇懃無礼な言葉で罵ってきたら、その言葉に反応するのではなく、その言葉を使った人の思考パターンに反応することを言います。たとえば、侮蔑の言葉をぶつけられたら「ずいぶん失礼な言葉を選択するんですね、あなたは」や「どういうつもりですか。どんな意図があるんですか?」といった感じです。

怒るべき場面で必要なのは、情動に任せて罵り合うのではなく、頭をフル回転させて相手の言葉の意図を理解することです。頭のなかで相手の怒りの根源や状況を冷静に判断し、その後から反撃を行うことで、最終的に自分を有利な立場に持っていくことが可能となります。

怒りを抱きつつも、冷静に頭を回転させましょう。

怒りを抱きつつも、冷静に頭を回転させましょう。

また自分の発する言葉に説得力を持たせる為に、言葉遣いも重要です。

また、言語化する際には“言葉使い”も重要です。あなたが使う言葉は、できる限り丁寧にしてください。汚い言葉使いは、周りの評価も下げますし、なにより自己能力の自己評価であるエフィカシーを下げてしまいます。

テレビの討論番組を見ていると、最終的に劣勢に立たされているのはいつも先に声を荒げてしまった方です。エキサイトした状態というのは、それだけで言葉の説得力を失ってしまいますし、何より冷静に頭を回転させることが難しくなってしまいます。

「常識」という言葉に騙されないこと

相手が「常識」「当たり前」といった言葉を使ってきたら注意しなければいけません。めちゃくちゃな理論でも、これらの言葉を使われるだけで何となく説得力を持たせてしまう言葉だからです。

重要なのは、そこでその「常識」という言葉が腑に落ちないなら「納得出来ない」ということを相手に伝えることです。

どうも納得できないけど、なにがどう違っているのか指摘しづらいのが、この「常識でしょ」戦法です。ですから、ここでやっておかなければいけないことは、「納得できない」という意思表示です。

この意思表示をしておかないと、自分がその「常識」を受け入れたことになってしまい、それ以降は完全に相手のペースになってしまいます。

納得出来ないのに、こちらから折れてはいけません。

納得出来ないのに、こちらから折れてはいけません。

もちろんここで言う意思表示とは、あくまで冷静な態度を崩さないまま行います。

ただし、それは反抗の狼煙としての「納得できません!」という言い方ではありません。「なぜでしょう。どこか納得しきれませんが」という穏やかな、もの言いを心がけてください。

「常識」という言葉はその時点で思考を停止させてしまう危険な言葉です。怒る場面で重要なのは、常に冷静に頭を回転させ続けることです。

怒る目的を明確にしておくこと

ただ闇雲に怒りをぶつけるだけでは何の価値もありません。必要なのは、怒るという行動を取った上で何をどうしたいのかをハッキリさせておくことです。

双方で目的がしっかりとしていれば、怒りをぶつけ合うことがあっても後腐れなく、より関係も好転していきます。夫婦が喧嘩をするのも、長い結婚生活をより良くしたいという目的が共有されているのであれば、全く問題ないのです。

怒りをぶつけ合うことで見えてくるものもあります。

怒りをぶつけ合うことで見えてくるものもあります。

この時にも、やはり必要なのは冷静でいることです。怒りに燃えていても、頭の中では目的を常に考えていなければならないからです。

この時にもしかすると自分は冷静でも、相手は頭に血が登って手がつけられない状況になっているかもしれません。目的の共有ができていない状況ですね。しかし自分が目的を正確に捉え、冷静な態度を貫いていれば、相手も徐々に落ち着いてくるでしょう。

怒りに支配されている相手をコントロールするということも、怒りの現場では重要な事なのです。

怒ることで、物事は正しい方向へ進む

「怒る」という言葉をイメージした時に、僕達は「誰かに怒鳴り散らす」というシーンを想像しがちです。しかしそれは大きく間違った方法であり、何も生み出さないということがこの本を読むと思い知らされます。

むしろ怒りを覚えた時こそより冷静になり、思考をフル回転させ、戦略的に事を運んでいくことが重要なのです。そのためにも、今回紹介したような方法論が必要となるのでしょう。

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人間は予想外の出来事に遭遇すると取り乱してしまうものですが、その時にあらかじめ対処法のようなものを用意しておくと冷静に対処できるものです。「怒り」という感情も突発的なものでですが、「怒るべき場面かを判断する基準」と「正しい怒り方」を知っておけば冷静に対処することが可能になるのです。

今後は怒りを覚えることがあったら、まず「基準に従って怒るべき場面なのか」を考え、そして怒るべき場面であれば「正しい方法で怒る」ということを実践していきましょう。最初はうまくいかないかもしれませんが、段々と怒りの感情をコントロールすることが容易くなるはずです。


僕も怒るという感情はエネルギーの無駄だと考えていましたが、本書の内容に触れることで怒りを正のエネルギーとして活用する大切さを学べました。この記事で紹介したのは本書の内容のほんの一部であり、実際にはより実践的な内容が数多く紹介されています。怒りという感情に悩むことがある人は、目を通して損はない1冊です。

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