『理科系の作文技術』に学ぶ、わかりやすい文章構成

analog-972947_640

この記事は先日書いた「理科系の作文から学ぶ文章術/『理科系の作文技術』」の続きの記事です。ただ内容としては独立しているので、特にそっちを読まなくても問題ありません。でも読んでくれたら嬉しいです。やっぱり読まなくてもいいです。

この記事では前回書ききれなかった「文章構成」についての部分をまとめています。理科系の作文というのは言うならば「究極に無駄を削いだ文章づくり」なので、わかりやすさにおいては学ぶことが多い。

段落は主張の切れ目

以前にどこかのブログで「目安として3~5行ごとに段落分けしましょう」というコトが書かれているのを見かけたけれども、当然ながら段落分けというのはそのように機械的に行うモノではない。本書の中では、段落(パラグラフ)とはそれぞれが独立した内容を持っており、そこでは原則としてひとつの考えが述べられるべきだ、と書かれている。例えばこの段落であれば「段落分けは機械的に行うものじゃないよ」ということについてのみ書いているわけで、それ以外の関係ないモノゴトはこの段落内には書くべきではない。

パラグラフは、上の例にみられるように内容的に連結されたいくつかの文の集まりで、全体として、ある一つのトピック(小主題)についてある一つのこと(考え)を言う(記述する、明言する、主張する)ものである。

段落の構成を考える上で意識したいのがトピック・センテンスだ。横文字で書くとわかりにくいけれど、簡単に言えば「ここでは何を言おうとしているのか」というコトを述べた一文である。この段落で言えば最初の文がそれにあたり、「トピック・センテンスについて今からアレコレ言いますよ」と読み手にまず案内しているわけだ。つまりトピック・センテンスは文章の概要といえる。理想的な構成としては、全てのトピック・センテンスを抜き出した時に、それだけで文章全体の内容をつかめるようになっていることが理想だと著者は言う。

トピック・センテンスは各パラグラフのエッセンスを述べたものだから、それを並べれば文章ぜんたいの要約にならなければならないのだ。

かなり意識して書かないとそのような構成にするのは難しそうだ。ただ一文目から概要をつかめるのであれば読み手とってには非常に親切だし、自分の言ってるコトも理解してもらいやすくなる。わかりやすい文章を格上で段落とトピック・センテンスを意識することは重要に思える。

日本語の文章にありがちな「後回し」を避ける

本書の中で特におもしろいと思った箇所は、レゲットという物理学者が、日本語が持つ文章の特徴について指摘した内容だ。ざっくり言ってしまうと、日本語というのは「後回し」が多い言語なのだという。どういうことかと言うと、日本語の特徴のひとつとして述語が最後に来ることが挙げられる。また英語と違い、修飾語はことごとく名詞・動詞の前に置かれる。そういった性質を持っているので、読み手は一文の終わりまで読まないとそこに書かれた内容を掴めない。そのように、結論を後に後に伸ばしているような構造になっているというのだ。日本語に慣れた我々は特に違和感を感じないが、レゲットからすると出口のない森の中を迷っているかのようなモヤモヤがあるらしい。

もちろん外国の学者が指摘したからと言って、日本語がおかしな言語になるわけでもない。後回しも日本語にとっては大切な要素かもしれないし、それによって生まれる情緒もあるかもしれない。ただ著者は「理科系の仕事の文書」の場合は、レゲットの指摘を考慮する必要性があると述べる。

ではそういった構造上の弱点を補うにはどうすればいいのだろうか。本書ではその対策として、修飾語に注意を払う重要性を述べている。以下の様なものだ。

(a)一つの文の中には二つ以上の長い前置修飾節は書きこまない。

(b)修飾節の中のことばには修飾節をつけない。

ざっくり言えば、やたらめったら修飾語を使ったり、修飾語をさらに修飾するようなコトをするな、という感じだろうか。

それに続けてこのような心得も述べている。

(c)文または節は、なるたけ前とのつながりを浮き立たせるようなことばで書きはじめる。

これらの方法を見ると、文章術でよく言われる「短く言い切る」という方法は理にかなっているのだと感じる。もちろん常に言い切りゃあ良いってものでもないけれど、そうすればダラダラと修飾語が並ぶようなことはないし、一個一個の文の繋がりもわかりやすい。日本語の文章の弱点を補うための具体策としては有効だからこそ、さまざまな場所で「短く言い切る」ことが推奨されているのだろう。

ただし、こういった具体策も必要には違いないが、それ以上に大切なことが書き手の感覚であることを著者は言っている。

(中略)何よりも必要なのは、話の筋道(論理)に対する研ぎ澄まされた感覚である;不意に余計な交流が流れこんだり、流れが淀んで行き先がわからなくなったり、迂回して流れたり、伏流になったりするのに瞬間的に反応する鋭敏さである。

文章を書いたり読んだりするときに、なんとなく引っ掛かりを感じるときは誰にでもある。そういう時にその違和感を放置せず、原因を追求する。修正する。そういったことの繰り返しで違和感のアンテナを敏感にしていくことが大切なのだろう。

おわりに

やはり名著なだけに書くことが多くなってしまい、2つの記事にわかってまとめることになってしまいました。前回も言ったように、理科系の文章のみならず、あらゆる文章に適用できる普遍性を持った指南書だと思うので、文章に悩む全ての人におすすめしたい。

SNSでもご購読できます。