理科系の作文から学ぶ文章術/『理科系の作文技術』

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文章術の本としては必ず名前があがるほどの名著『理科系の作文技術』を読んでみた。

出版から30年以上経つにも関わらず現在でも重版を重ねており、今年で100万部を突破したベストセラー。そして実際に読んでみても、それだけの内容が書かれている本だと感じる。タイトルには「理科系の」という言葉が使われているけれども、理系や文系という括りに縛られずに、全ての人におすすめしたい本だ。

同時代に出版された文章術の古典としては『日本語の作文技術』が思い当たるが、あちらが文法やら構造やらの原則的な部分を掘り下げているのに対して、『理科系の作文技術』は具体的かつ実践的な内容が多い。わかりやすいので、すぐにでも自分の文章に活かせる。

そんな為になる内容が豊富な本書から、個人的に響いた部分をまとめていきたいと思います。

理科系の文章に求められるものとは

著者の言う「理科系の文章」にはどういったものが求められるのだろうか。

独自の意見を書く

ひとつには「オリジナリティを持っていること」を挙げている。つまりパクリなんてクソ食らえということだ。

ひろい題目のなかで自分で主題をえらべる場合には、できるかぎり、自分自身が直接にことに当たりものに当たって得た情報――なまの情報――、またそれについての自分自身の考えに重点をおくべきである。

注目したいのは、ここで言われているのは「扱う題材についてでは無い」ということだ。例え今までに書き古された題材であっても、オリジナルの思想が表現されていれば、それは強みを持っているということを著者は言っているわけである。そして反対にどれだけ新鮮で刺激的な題材であろうと、そこに独自の洞察が無ければ大した価値は無いということだろう。

紙の上で得た知識――他人の報告や論文を読んで得た情報――は、筆者自信の深い考察によって新しい生命を与えられないかぎり、いかに巧みにまとめてみたところで所詮は二番煎じであって、読者に「ウン」といわせることはできない。

これはブログを書く自分も常々気をつけていることである。特にこういった読書感想を書くときなどは、極端なことを言えば自分の考えなんて書かずに、本の内容を適当にまとめるだけでも記事としては成り立つ。ただそれでは読む人も単に「本の要約」を読まされるだけだし、自分にとってもそれがプラスになるとは思えない。ブログ記事として衆目に晒すなら、必ず自分の考えは押し出していかなければいけないだろう。

事実と意見を書きわける

話を戻して、それ以外に理科系の文章に求められる要素としては「事実と意見をハッキリと分ける」ということが本書では言われている。

理科系の仕事の文書を書くときには、事実と意見との区別が格別に重要である。

例えば前の段落では不特定多数の意見として扱われていた内容が、その後の段落では当然の事実かのように扱われているパターンがよくある。ただこれでは論理のすり替えになっているし、前後の整合性が命の論文等ではふさわしくない。なによりそういった不整合は読み手には簡単に見破られてしまうものだ。

事実と意見の混同を避けるための方法として、著者は次のふたつを挙げている。

(a)事実を書いているのか、意見を書いているのかをいつも意識して、両者を明らかに区別して書く。書いた後で、逆にとられる心配はないかと入念に読み返す。

(b)事実の記述には意見を混入させないようにする。

至ってシンプル。厳密には「意見を書く際には『~と考える、~と思う』などを使用する」といったことや「事実を書く際には曖昧な表現を避ける」といった細かい方法があるけれども、それらは結局は上記を意識しておけば自然となされることなのだろう。

まとめ

こうして見ていくと、「理科系の文章」に必要な要素は、なにも理科系の学術雑誌等のみならず、全ての文章にとって大切なことがわかる。自分の意見を含めることも、事実と意見を区別させることも、どちらも全てのブログや書籍で意識されるべきことだ。冒頭で「この本は文系の人にもおすすめ」と自分が言ったのは、内容にこのような普遍性があるからに他ならない。

本当はもっと書きたいことがあったけど、文量がパツパツになってしまったので別記事として後日書く予定です。あくまで予定。

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