世界観が特異な漫画『竜のかわいい七つの子』が美しすぎて感動の連続【感想】

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また良い漫画と出会えました。おすすめです。

独特の世界観が特徴の作品集

「ダンジョン飯」で話題沸騰の九井諒子さんの短編集――それが今回紹介する『竜のかわいい七つの子』という漫画でございます。7つの物語が収録されており、それが「七つの子」というタイトルに繋がったと思われる。

収録作品

第一話  竜の小塔
第二話  人魚禁漁区
第三話  わたしのかみさま
第四話  狼は嘘をつかない
第五話  金なし白祿
第六話  子がかわいいと竜は鳴く
第七話  犬谷家の人々

ニコニコカドカワフェアにてセール対象となっていたことで購入したのですが、読んでみて感動の連続。「『ダンジョン飯』の作者がこういう漫画もかけるのか!」と素直に驚いてしまいました。

リアルとファンタジーの融合の妙

これは九井諒子さんの真骨頂だと思うのですが、リアルの中にファンタジーを溶けこませるのが絶妙で、本当に素晴らしい。竜や人魚などの通常ならあり得ない存在が、当たり前のものとして人間と共存している。その世界観が非常に魅力的で、のめり込むほど面白い。

例えば『人魚禁漁区』では人魚が普通に存在する世界の話なのですが、その中では人魚に対して「人権」を与えるかどうかが社会問題となっています。人魚は喋れないことと下半身が魚ということ以外は人間と変わりません。だから境界線を引くのは難しい存在であり、結果的にこのような問題が起きているわけです。

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人間と人魚が共存している設定だけ見るとファンタジーそのものなのですが、それに伴う上記のような問題も描くなどリアルな部分も追求されている。だから読み手が違和感なく、その世界に没入することができます。

物語が終わる時の「余韻」がたまらない

もうひとつの点として、それぞれの物語を読んだ後の何とも言えない余韻がたまらんです。

普通の漫画だったら、「次のページをめくったら後日談があるのでは?」という場面で物語は終わりを迎えるんです。だからと言って不完全燃焼のような印象を受けることもなく、むしろ心地良ささえ感じるような情感溢れる終わり方に感じさせます。この辺りは完全に作者のセンスでしょうね。

物語の中で完結させずに、その後の展開を読者に想像させるようなゆとりがある終わり方は、情緒があってウットリしてしまいます。

※本当はラストシーンの画像をひとつぐらい載せたいのですが、それだと完全にネタバレになるので自重しておきます。実際に読んでご確認ください。

それぞれの物語の完成度が高い短編集

7つの物語が収録されていて、それぞれが全く異なる展開となっています。1話毎に濃密なストーリーとなっているので、感覚としては1冊の本を7回読んでいるような満足感を味わうことができました。重苦しいような話もなく、ゆったりと楽しむことに向いている漫画だと思います。

現在でもKindle版ですと232円と格安で購入できるのですが、この漫画は表紙が美しいのも魅力。カラー表紙を手にとって眺めることができるコミック版も捨てがたいように思います。本棚に置いておきたいような綺麗な漫画なんですよね。

『ダンジョン飯』で作者を知った人こそ読むべき漫画です。その独特の世界観にハマりますよ。

『ダンジョン飯』も当然おすすめ。

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