考える力は筋肉のように鍛えられる『考える訓練』

人間を取り巻く環境が便利になるとともに、僕たちは代償として 「自分で考える」という能力が弱くなっているように思います。

『考える訓練』は自分で考えることの必要性を教えてくれると共に、その力を養うための方法を教えてくれる本です。

なぜ今こそ考える力が必要なのか

わからないことがあってもググれば瞬時に疑問が解決できる現代。その代償として僕たちは「まず自分で考える」ということをしなくなりました。

『考える訓練』の冒頭で著者は、インターネットで検索したり文献を参照したりするだけでは考える力は養われない、と述べています。それは単なる「リサーチ」の練習であり、そこには自分の思考はほとんど存在しません。

他人が考えた答えを探すのは「考える」ではない。それはたんなる調査、リサーチである。

「考える」ということは、結局は自分の人生を自分で決めていくことに他なりません。考えない人は、その意思決定を他人に委ねます。自分の人生なのに、それを左右するのは他人の考えなのです。これでは何のために生きているのかわかりません。

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考える力を持つことは、よく生きるための最低限であり、最重要でもある能力と言っていいでしょう。そして本書にはその「考える」という能力を鍛えるための方法が網羅されています。

自分と違う意見にあえて飛び込む

著者は自分と違う意見に触れた時に、考える力が養われると述べています。

人間は無意識のうちに自分の考えを正当化するような意見にばかり目を向けがちです。しかしそれでは単に安心感を得ようとしているだけで、考える訓練にはなりません。ぬるま湯につかっているだけです。

考える訓練に必要なのは、あえて自分とは違う意見に飛び込んでみること。そういった意見に触れると、時にはイライラするかもしれませんし、モヤモヤしたりするかもしれません。ただそういった「心のざわつき」が考える訓練には最適で、自分の思考をレベルアップさせることに繋がるのです。

別の立場や視点の人のものを選んで読んでみると、イラついたり、頭に来たり、疑問がわいたりしてきて、心がざわざわしてしまう。それはいやだと思うかもしれないが、そのざわつきが「考える訓練」では必要となる。心がざわつくことが、考えることを始めるきっかけになるからだ。

自分と正反対の意見に触れた時、それに対して「なんでこの人はそう思うんだろう」「これはどうしてこうなっているのだろう」と考えてみます。頭からそれを否定せずに、そのように歩み寄ろうとすることが考える訓練になるのです。

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著者は「新聞の読み比べ」を例にしています。一紙だけでは情報や思想に偏りがあるので、それを避けるために複数を読み比べることが大切ということですね。そして違いがあれば、どうしてその違いが生まれるのか。その理由を考えてみます。

これはネットでの情報収集の際にも同じです。好きなブロガーや得意な分野の記事ばかりに触れていても、それは結局は自分の知りたい情報にだけ触れているだけであり、そこに考えるというプロセスはほとんどありません。時には大嫌いなあの野郎の記事を読んでみることも、考える訓練としては最適になるのです。

価値観を縛る「経験」にだまされない

人は年をとり経験を積んでいくごとに成長すると考えがちですが、実はそうでもありません。経験は自信につながりますが、時にはそれが固定観念となってしまい、別の価値観を受け入れられなくなってしまいます。人間は一度「それが正しい」と思ってしまったことは、簡単には改めることができないのです。

もちろんそういった経験則を常に放棄しろというわけではありません。必要に応じてその枠を外して考えることが重要だと著者は言います。

その枠は、人生や経験の中でつくりあげてきたもので、その人の個性や人柄、物差しや基準になるわけだから、枠はあってもいい。ただ、必要なときには意識してそれをはずせることが大切だ。

そういった枠にとらわれないために必要となるのが「想像力」です。想像力というと現実に即していない能力のように思われがちですが、そうではありません。想像力をフルに使って考えると、例えば相手の立場になって物事を考えることが可能になります。自分の過去の経験から生まれた価値観に縛られず、あらゆる立場をベースに物事を考えることができるわけです。

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想像力を発揮してあらゆる視点から物事を考え抜き、最終的には自分自身で意思決定をする。これが考える上での最上の訓練となるのでしょう。

トレーニングで考える力は鍛えられる

「考える力」というと知識の蓄積やセンスによって優劣が決まるように考えがちですが、僕はある程度のトレーニングを積むことで誰でも鍛えることができるものだと考えています。ちょうどそれは筋肉と同じようなものかもしれません。

考える訓練』は自分の考える力を向上させるための訓練方法が多数書かれています。自分の思考力を底上げしたい人にはおすすめです。

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