思考の「質」と「スピード」を最大限に高める『ゼロ秒思考』

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「自分で考えて結論を出す」というのが苦手な人は多いのではないでしょうか。と言うよりも、それは自分を押し殺すための教育を受けてきた日本人の特徴と言えるかもしれません。日本人は自分の考えを積極的に出していくことが得意ではないのです。

例えば瞬間の内に頭の中であらゆる選択肢を検証し、そしてその中から正しい物を選ぶことができたら素晴らしいことです。今回取り上げる本のタイトルでもある『ゼロ秒思考』はまさにそういった「瞬時に自分の頭で考え、正しい結論を出す」といった思考のことです。

本書では「ゼロ秒思考」の方法論というよりは、それを身につけるためのトレーニング方法について書かれています。その大枠をまとめつつも、読んだ感想を書いていきたいと思います。

ゼロ秒思考とは何なのか

「ゼロ秒思考」と聞くとなにやら特殊な思考方法のように思ってしまうけど、聞いてみると何の事はない。それは単に「問題に直面した時に一瞬(ゼロ秒)で最適な答えを導き出すことのできる能力」のことでしかないからです。

ただそういった単純な思考を扱った本書がなぜベストセラーになったかというと、潜在的にその能力を身に着けたいと思っていた人間が多かったのでしょう。聞いてみれば至極簡単な内容でも、その必要性をハッキリと認識していた人は少なかった。自分たちに欠けていた、求めていた能力に気が付かせてくれるきっかけとなったから、この本は売れたのだと思います。

さてこの本は単に「ゼロ秒思考は何なのか」という説明で終わってしまう本ではありません。肝心な「ゼロ秒思考を身につけるためにどうするか?」というところに深く触れている本であり、それが評価されている所以でもあります。次からはそのトレーニング方法を見ていきましょう。

メモ書きが思考に与える効果

本書の中に書かれている「ゼロ秒思考を身につけるための方法」は、結論から言えば「メモ書き」に尽きます。

著者が言うには、毎日10ページ、なんでもいいから頭に浮かんだことをA4の紙に書く。それも時間をかけず、1ページ1分を目安に。こうすることで瞬時に深く考え、答えを出せる「ゼロ秒思考」が身に付くというのがこの本の要件です。

それは、頭に浮かぶことを次々とメモに書くだけだ。ただ、ノートやパソコン上ではなく、A4の紙に1件 1ページで書く。ゆっくり時間をかけるのではなく、1ページを1分以内にさっと書く。毎日10ページ書き、フォルダに投げ込んで瞬時に整理する。それだけ で、マッキンゼーのプログラムでも十分に教えていない、最も基本的な「考える力」を鍛えられる。深く考えることができるだけでなく、「ゼロ秒思考」と言え る究極のレベルに近づける。

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なぜメモ書きがゼロ秒思考を身につけるのに効果的なのでしょうか?

まずひとつの理由として、考えが堂々巡りにならないことがあります。僕たちは日頃から多くのことを考えていると思っているけど、実はそのほとんどが同じことを繰り返し考えているだけの事が多い。しかしひとつひとつの考えを紙に書いていけば、それを形としてハッキリと認識できるので堂々巡りになることを避けることができます。結果的により多くの物事を考えることができるわけです。

おそらく、普段いろいろなことを考えているとは言え、堂々巡りや繰り返し、逡巡が大半なのだ。それを1 件1ページで書き出していくと、その件については一応けりがつくので、悩むべき・考えるべき課題が急激に減っていくのだろう。頭の中に残しているので、毎 日多くのことを考えている、思いついていると思ってしまうが、多分、実際は違う。

またこれは僕も普段から実感していることですが、メモ書きをすると自分ですら思ってもいなかったような考えにたどり着く時があります。頭の中で「なんとなく」で思っていたことも、文章にする際は明確にせざるを得ません。考えを文章に置き換えるという作業は、自分の深層心理を浮き彫りにしてくれる効果があります。

頭がうまく動くようになるだけではなく、なんとなく考えていたこと、なんとなくできていたこと、すなわち「暗黙知」がはっきりと形になる。

またメモ書きは「手書き」を作者は推奨していますが、これは自由度が高いからでしょう。手書きの場合はイラストや図説も簡単に書けるので、思考をより柔軟に表現することができます。考えを整理する場合には、手描きのメモは最適なのです。

なぜA4用紙でないといけないのか

普段から文庫本サイズのメモ帳を愛用している自分がまず思ったのは「どうしてもA4用紙でないといけないのだろうか」ということです。単に思考をアウトプットしてくのであれば、メモ帳だろうが大学ノートだろうが同じように思います。

しかし著者によれば、これにも明確な理由があるのだとか。

まずA4用紙を使うという方法は著者の膨大な試行錯誤の末にたどり着いたものであり、単純に見えて深い理由があるのだそうです。

本書でご説明している「メモ書き」は、私自身が他のやり方を多数試し、今のやり方に落ち着いてから何万 ページ以上も書き、工夫をしてかなり完成度の高い書き方になっている。一見何のことはなさそうだが、実践上のアイデアがいっぱい詰まっている。そういう背 景への理解なしにあれこれちょっとした工夫をすると、せっかく作り上げたノウハウがうまく働かないことにもなる。

他にもメモ帳やノートでは駄目な理由として、カテゴリ分けがしにくかったり、コストパフォーマンスが悪かったりということがあげられています。

ただ僕もそう聞いて素直に従うほどヘソが真っ直ぐではないので、普段から使っているメモ帳で本書の方法を実践してみることに。ただやってみるとわかるのですが、このメモを量産していく本書の方法だと確かにメモ帳ではやりにくさを感じました。

例えば前のメモの内容を振り返りたい時に、メモ帳だとページをペラペラ捲らないといけません。その点でA4用紙なら机でも床でもベッドの上に一枚一枚広げれば、全ての内容を俯瞰で見ることができます。細かいですがこういう些細な部分にやりにくさを感じてしまうと、習慣にできるかできないかが分かれてしまいそうに思います。

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そういう理由で本書の内容を実践するということに限れば、A4用紙を使いまくるという方法を守るのをおすすすめします。A4用紙ならAmazonで頻繁にタイムセールの対象にもなってますからね。

思考の「質」と「スピード」を実現するトレーニングの本

単に深く考えるだけなら時間をかければ誰でもできるかもしれませんが、「ゼロ秒思考」はそれを瞬時に行うということに意義があります。つまりは思考の「質」だけではなく、そこに到達する「スピード」も両立しているわけですね。

そうした思考の「質」と「スピード」、双方の到達点が「ゼロ秒思考」だ。 ゼロ秒とは、すなわち、瞬時に現状を認識をし、瞬時に課題を整理し、瞬時に解決策を考え、瞬時にどう動くべきか意思決定できることだ。迷っている時間はゼロ、思い悩んでいる時間はゼロとなる。

世の中で賢いとされている人は、この「ゼロ秒思考」を身につけて日常に活かしています。シンプルかつ、かなり実践的なトレーニング方法が詳細に書かれているので、この本に書かれている内容に愚直に従ってみる価値はあると思います。

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